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2006年11月10日 (金)

第7回TIEES報告

堀出知里@TIEES世話人です。

第7回TIEESのご報告です。安仁屋先生、岡村先生をはじめ、セミナーにお集まりくださった皆さん、ありがとうございました!

フィールドワークの野外教育実践―南極から白神山地・白山・屋久島まで―
 日時:2006年11月7日(火)18:00~20:00(延長21:30終了)
 場所:筑波大学総合研究棟Aプレゼンルーム(107)
 話題提供者:安仁屋政武(筑波大学生命環境科学研究科生命共存科学専攻・教授)
 コメンテーター:岡村泰斗(筑波大学人間総合科学研究科体育科学専攻・講師)
 コーディネーター:内山弘美(東京大学工学系研究科協力研究員)
1.話題提供
 南極やパタゴニアでのフィールドワークの話から始まった。雪氷の世界の中にも、大地の営みと、人間の営みがある。安仁屋先生の、フィールドワークの原点だ。
 続いて、環境科学野外実習(1984年から2004年)の話題に移った。この実習は、南アルプス・スーパー林道から始まり、白神山地、白山、屋久島で実施してきた。しばらく時を経て、同じ実習地を訪れると、自然の変わらぬ姿や、変わり果てた姿を、目の当たりにする。
 参加学生がまず驚くことは、10日間の本実習以外に費やされる膨大な準備時間である。本実習はもちろん、準備から報告書作成にいたるまで、全てが貴重な学びの場なのだ。
 スライドを交えながら、白神山地、白山、屋久島という、それぞれ特徴ある自然地域での実習の内容が紹介された。実習では、その地域の自然を踏査し、地域の人々の生活の場にも入る。「(学生が)山に入るよね。そうすると、(学生が)聞き取りするとき、(村人が)言ってることが、よくわかるんだ。」・・・自然と結びついた暮らしが、何によって守られ、何によっておびやかされようとしているのか。現場を見れば、実感として理解できる。
 このユニークな実習は、現在開講されていない。「一人では続けられない」「自分と学生の歳が離れすぎてしまった」と、安仁屋先生は残念そうに語られた。
 安仁屋先生は、「自然を大切にしましょう。自然がなくては、人間は生きていけない。謙虚に。自然に生かされている、ということを忘れてはならない。」と、最後を結ばれた。あたたかな先生の語り口が、心に残っている。

2.コメントとディスカッション
 「教育の手段・方法が(野外教育と)ドンピシャリ」と、感想を語った岡村先生。続いて安仁屋先生に投げかけたのは「先生ご自身が考える環境教育と環境科学の概念とは?」。その問いかけに対し、「特にこうだと考えているわけではない。あえて自分の主義主張は出さない。大事にしているのは、本物の自然を見せることだ。」と、安仁屋先生。実習を通して、学生自ら何か見いだしてほしいとのことであった。そして、「本物の自然は、神を感じる世界。」とのこと。「神を感じる」という言葉に、岡村先生も大きくうなずいていた。
 「もともと自然に興味なかったような学生が、この実習にどうかかわったのか聞きたい」と、白川先生。「実験系の学生が多く参加したとき、(実験で多忙な彼らが準備に関与できなかったため)実習が機能しなくなってしまい、参加を制限したことがある。でも、そんな彼らでも、山を見たら、感激するんだよね。」と、安仁屋先生。
 学生からも、多くの質問が出された。「神は、植物の多い有機的な環境にも、雪氷に覆われた無機的な環境にも、どちらにも感じられますか?」との問いに、安仁屋先生は「感じられる。」「しかし、経験しないと、わからない。」とコメント。岡村先生は、「キャンプに来る子どもたちも、山で雨に降られて大変な思いをして、そのあとで目にする自然の景色を、きれいだなーとは言わない。ありがとうーって、手を合わせる。」という体験を紹介した。また、安仁屋先生は、「今の子どもは自然の中で遊ぶということをやっていない。自分は東京育ちだけど、あの頃は東京でも原っぱがあったよね。自然を知っているとね、人間同士のイザコザなんて、やってられるか、って、思うんだよね。」とも語った。このほか、環境に対する「基準となる価値観」はあるのか否か、自然保護と利用のジレンマなどについても、意見交換がなされた。

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